君が好きだから僕は書く

恒松エントのブログとエッセイ

菊池風磨君の卒業の偉大さを、僕は知っている

菊池風磨君、御卒業おめでとうございます。無事に大学を卒業できたこと、きちんと4年で卒業できたことを、僕は本当に心から嬉しく思います。と同時に、そのことを僕はとても尊敬しています。

僕は一人のファンとして、Sexy Zoneの菊池風磨くんを観てきました。風磨くんがこの4年間懸命にステージに立ち続けたことを、ファンの僕なりに知っているつもりです。その中で彼がきちんと卒業を達成したことは、学業とアイドル、それらをしっかりと両立した証だと思っています。それだけでも、とても立派なことです。そしてその上で、風磨くんがきちんと卒業したということの偉大さを、僕は知っています。

思えば風磨くんがあの学校に入学するというニュースを聞いたとき、当時僕は彼のことを知らなかったけれど、僕の界隈でも随分と話題になったものです。世間の声の中には、あまり好ましく思わないものもあったと、僕は記憶しています。でも僕は、彼の入学がそれほど特別なことではないことを知っていました。確かにジャニーさんが推薦文を書いたと聞いたときには、へーそんなこともあるんだ、と思いました。ただ、それもまた「らしい」というか、他の誰にもできるようなことではないこのエピソードが、逆に彼にしかできない、彼だけが担うことができる役割があることを意味するのだろう、そう思ったことを僕は何となく覚えています。そして、そういうそれぞれにしか担えない役割を持った人があの学校には多くいたことも、僕は知っていました。

その一方で、彼が本当に卒業できるのか、彼が最後まで学業を全うすることができるのか、正直に言うと、僕は少し懐疑的に思ったりもしました。それは風磨くんのことを知る前の、そういう奴が入学したらしいよ、という程度の認識のときも、そして風磨くんのことをファンとして知るようになってからの、あぁあのとき入学したのが風磨くんだったか、という認識に至ったときも、本当に彼はあの学校を卒業することができるのだろうか、と僕は余計な心配をしたものでした。別に彼の能力を疑っていたわけではありません。ステージに立つ彼をよく見るようになったとは言え、彼の学業に対する能力を知る由もありません。ただ僕は、僕の経験から、本当に彼はちゃんと卒業できるのだろうか、彼にどれだけの意志があるのだろうか、そう思ったのでした。

風磨くんが今年卒業すると聞いたとき、ああ風磨くん本気だったんだな、彼にはあの学校を卒業するだけの意志がきちんとあったんだな、そう思いました。あのステージに立ち続けた一方で、多忙を極めながら、彼はそれを結果で証明したのだな、と。僕は、あの学校に通い続ける難しさを知っています。個人に大きく委ねられた学びの目的。独自性の強い授業。学生の多様性。そして、通い難い、周囲に何もない立地。しっかりとした学ぶ意志がなければ、通い続けることが難しい、そんな学校であることを、僕は痛いほど知っています。なぜなら僕は、あの学校を、4年で卒業できなかったから。あの学校で学ぶ意志を一時見失った僕は、あの学校に容赦無く振り落とされたから。

入学した以上、卒業することなど当たり前のことかもしれません。もちろん相応の努力があったとは言え、苦労して卒業をしたのは、彼だけに限った話ではないでしょう。それでも、あの坂を上り、あの異様に重たい扉を開き、あの地区特有の家畜の匂いを嗅ぎ、あの試されるような独特の環境で学んだ僕は、きっと同じ坂を上り、同じ扉を開き、同じ匂いを嗅ぎ、同じ環境で学び試された彼のことを想像するのです。Sexy Zoneとして歌い踊り語り、精一杯ステージに立つ菊池風磨くんを思うと同時に、わざわざ東京からあんな遠く離れたキャンパスに通い*1、学びの意志を持ち続け、そして卒業までこぎつけた菊池風磨君を思うのです。Sexy Zoneとして「拳握って叩きつけ」*2ながらも、あの学校をきちんと4年で卒業しきった彼の偉大さを、「Sexy Tour 2017 〜STAGE」で5年間の集大成を目の当たりにし、あの学校をかろうじて5年で卒業した僕は、よく知っているのです。

彼の卒業は偉大です。しかし彼があの学校で何を学んだかは、まだわかりません。卒業に彼より1年余計に要した僕が、彼に言えるアドバイスなどたいしてありません。ただアドバイスではないけれど、1つ言えることがあるとしたら、菊池風磨君が何を学んだかは、きっとこれからのSexy Zoneとしての菊池風磨くんが示すのだということです。それが一体何なのか、そこにあの学校で学んだ価値は表れるのか、僕はそれを今から本当に楽しみにしています。学ぶこと自体に意味はない、学んだことを使ってこそ、初めて学んだ意味がある。それが、僕があの学校を卒業し20年近くを経て僕が得た、数少ない、しかし重要な結論ですから。

僕と同じ学校を卒業した後輩としての菊池風磨君に、敬意を表して。そして、僕が大好きなSexy Zoneとしての菊池風磨くんに、多大なる期待を寄せて。改めて菊池風磨君*3、御卒業おめでとうございます。人生、卒業してからが勝負ですよ、風磨くん。

*1:実際あのキャンパスは都心からかなり遠く、東京近郊に住んでいながら、キャンパスに2時間以上かけて通う人はざらにいました。ですので、その通うこと自体の苦労を、間近で幾例も見てきた僕はよく知っているのです。

*2:「STAGE」(Sexy Zone)歌詞より引用。

*3:この文章では、「君」と「くん」を明示的に使い分けています。面と向かって使うことはありませんが、教授も生徒も「君」づけで呼ぶのは、あの学校の独特の使用法なのです。つまり「君」にはそういう意味がある、とだけご認識ください。