君が好きだから僕は書く

恒松エントのブログとエッセイ

失って、手に入れて/「関ジャニ'sエイターテインメント GR8EST」観覧記

福岡ヤフオク!ドームに到着してもなお、僕は誰のうちわを持つべきか、決めかねていました。

元々は、すばるくんに会いたくて、渋谷すばるの歌が聴きたくて、行きたいと望んだ関ジャニ∞のコンサートでした。しかし彼を見送る6人の姿を観て、6人の彼らも応援したい、そう改めて思い、行きたいと望んだ、関ジャニ∞のコンサートでもありました。

彼らならやってくれる。6人が強い意志を持ってさらに成長を遂げれば、関ジャニ∞はきっと生まれ変われる。6人でステージに立つと決めたからこそ、関ジャニ∞という看板をこれからも背負うと決めたからこそ、彼らの覚悟を信じるからこそ、きっと素晴らしいコンサートになるに違いない。

その反面、心の中にどうしても影を感じてしまう自分もいました。実体のない影、それを図らずも追ってしまう自分。未練だと思いました。7月に7人の関ジャニ∞を見送って、6人の関ジャニ∞を観たいと、心から望んだのは事実です。しかし、手が届かなかった影をどこかで追っている自分も、また事実でした。

会場には、薄々予想もしていましたが、すばるくんの影を感じるエイターの姿もありました。仕方がないことだと思いました。僕たちは、決定的な存在を失ったのです。

悲しくないエイターなど、誰一人としていないでしょう。その中で、6人を変わらず応援すると決めた人もあれば、応援を断念してしまった人もおそらくあれば、実体のない影が消えないようにそっと胸に抱き続けている人もいるのでしょう。

きっとエイターそれぞれが、それぞれの思いを抱いてコンサートに臨んだはずです。受け入れるにせよ、拒むにせよ、混乱し続けるにせよ、存在することを選択した関ジャニ∞に対して、ここにいるエイターみんなが何かしら選択を迫られている、そんな気がしました。

僕のいた席が観客全体を見渡せる席だったからなのか、オーラスという日程がそうさせるのか、6人の新たな旅立ちというシチュエーションがそうさせるのか、ともかく、僕が福岡のドーム公演で観た中では、観客の熱量、声援の音圧は、圧倒的に最大でした。文字通り、老若男女が「エイト」と叫ぶ姿、それだけでこの公演には意味がある、そう感じることができました。

「6人でここまで走って来ました」

「応答セヨ」を歌い終わって、亮ちゃんが放った言葉。讃えてくださいよ、そう言わんばかりの誇らしげな6人の顔。涙が出ました。その一言に、どれだけの感情が詰まっていただろう。そう思うと、涙は止まりませんでした。

いろんなシチュエーションを抜きにして考えても、関ジャニ∞は本当にライブ巧者でした。これは楽しい。個性とチームワークを駆使して、まるでライブハウスにいるような巻き込み方で、ドーム全体を自然に巻き込んでくる。無防備で一緒になれる楽しさを、関ジャニ∞は提供してくれる。その心地よさ、開放感は、何者にも代えがたい彼らの魅力でした。

コンサートを見るまでは、すばるくんの声ありきでしか再生されなかった「なぐりガキBEAT」も「Heavenly Psycho」も「ズッコケ男道」も、そしてあの「LIFE」も「オモイダマ」も「大阪ロマネスク」でさえも、すべて6人の曲に仕上がっていました。誰かが代わりになるとかではなく、その言葉を歌うには誰、という割り当てを改めて行うことで、6人の歌として再構築しているのが見て取れました。その完成度は高く、過去を知らなければおそらく違和感などありません。

6人の関ジャニ∞は、もちろんそんなことは決してなかっただろうけど、もう既に何事もなかったかのように、力強く歩き始めていました。彼らが関ジャニ∞を続けていくには、もちろん忘れることなんてできるわけないとしても、最初から6人だったかのような完成度で関ジャニ∞を作るしかなかったのでしょう。

僕が観た関ジャニ∞は、完璧な、6人の関ジャニ∞でした。悔しいくらい逞しい、最高の関ジャニ∞でした。コンサートが終わる頃には、僕はもう、6人の関ジャニ∞しか見ていませんでした。言葉にすると薄情ですが、これが今の彼らに対する僕の最大級の賛辞です。

別れの悲しみを一番効果的に癒すのは、物理的に離れることです。ただ、関ジャニ∞が世に存在し続ける限り、物理的に離れることなどできません。どんなに彼らが当たり前に6人であろうとも、どんなに彼らが完璧な6人であろうとしても、記憶が薄まることはあれど、物理的に離れることは不可能なのです。悲しいけど、それは関ジャニ∞が選択した宿命です。

僕がステージで見たあの逞しい6人の関ジャニ∞は、物理的に消すことなど不可能な影を無理に消すのではなく、さらに大きな影で包んでしまうような、そんな姿を目指しているように感じました。それは、辛い宿命を選択した彼らなりの優しさであり、前を向く、未来に向かう、というメッセージでもあるのでしょう。

失い続けてはいけないのです。失うものがあれば、手に入れるものがないといけないのです。彼らがこれまでもそう歌い続けて来たように、7人の関ジャニ∞も、6人の関ジャニ∞も、そう歌い続けて来たように、エイターも失ったからには、何かを手に入れないといけないのです。

渋谷すばるという存在を失って、7人の関ジャニ∞を失って、6人の新しい魅力を、6人の関ジャニ∞という新しい存在を、手に入れたのだと思いました。

昔の曲を聴けば、きっと影は顔を出します。おそらくそれを、否定することはできません。時にそれは、エイターを苛むことになります。でも6人の彼らは、新しい関ジャニ∞は、その影すらも大きく包んでくれる大きな存在になります。彼らは優しいから、きっと無理強いはしません。でも、彼らは手を差し出しているのです。彼らの手を取って一緒に前に進めば、新しい何かが手に入るんじゃないか、僕はそう確信しています。

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